外国人の適正な雇用のために
- 32 分前
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~企業が押さえるべき法律と実務~

近年、多くの企業が人材不足への対応や海外展開の推進を目的として外国人材の採用を進めています。
しかし、外国人を雇用する場合には、日本人を雇用する場合と同じ労働法だけでなく、在留資格(ビザ)に関するルールも理解しておかなければなりません。
実際に、
在留資格を確認せず採用してしまった
外国人だからという理由で給与を低く設定してしまった
配置転換後に在留資格との不整合が発生した
退職や解雇の際に適切な手続を行わなかった
といったケースから、企業が法的責任を問われることも少なくありません。
外国人雇用において重要なのは、「外国人だから特別扱いすること」ではなく、「日本の労働法を正しく適用しながら、在留資格制度との整合性を確保すること」です。
本記事では、外国人雇用に関する法律と実務上のポイントを、採用から退職までの流れに沿って分かりやすく解説します。
外国人にも日本の労働法は適用される
まず理解しておくべき大前提があります。
それは、
外国人労働者にも日本の労働法が適用される
ということです。
労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの労働者保護法令は、国籍を問わず日本国内で働くすべての労働者に適用されます。適法な在留資格を持つ外国人だけでなく、不法就労者であっても労働者としての保護は受けることになります。
また、労働基準法では国籍を理由とした差別的取扱いを禁止しています。
つまり、
外国人だから給与を低くする
外国人だから賞与を支給しない
外国人だから解雇しやすい
といった取扱いは認められません。
採用時に最も重要なのは在留資格の確認

外国人採用において最初に確認すべき事項は在留資格です。
企業は、
在留資格の種類
在留期間
就労制限の有無
資格外活動許可の有無
を在留カード等によって確認しなければなりません。
例えば、
就労可能な在留資格
技術・人文知識・国際業務
経営・管理
特定技能
永住者
定住者
日本人の配偶者等
などで、
注意が必要な在留資格
留学
家族滞在
などです。
これらの在留資格では、資格外活動許可がなければ原則として就労できません。
採用担当者が在留資格の確認を怠り、不法就労者を雇用した場合には、不法就労助長罪に問われる可能性があります。
労働条件の説明を丁寧に
外国人労働者とのトラブルの多くは、労働条件の認識の違いから発生します。
そのため企業には、
業務内容
勤務地
労働時間
給与
契約期間
などを明確に説明することが求められています。
特に給与については、
基本給
各種手当
社会保険料
税金
を差し引いた後の実際の手取額まで説明することが望ましいとされています。
日本の給与制度は外国人にとって理解が難しいことも多く、丁寧な説明が信頼関係の構築につながります。
「外国人だから給与を下げる」はできない

外国人雇用において誤解されやすいのが賃金の問題です。
法律上、
同じ仕事をしているにもかかわらず、外国人であることだけを理由に賃金を低く設定することは禁止されています。
さらに、多くの就労系在留資格では、
「日本人と同等以上の報酬を受けること」
が在留資格の要件になっています。
そのため、同等の実務経験年数であり、資格保有においても差がないにもかかわらず
日本人エンジニア:月30万円
外国人エンジニア:月20万円
というような合理的理由のない差は認められません。
また、特定技能(建設分野)など一部の制度では、外国人労働者の受け入れ機関に比較対象となる日本人労働者がいない場合、「日本人と同等以上の報酬である」かは、厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」が基準となります。
➡令和7年度版はこちら
労働時間のルールも日本人と同じ
外国人労働者だからといって、長時間労働を認めることはできません。
労働時間の原則は、
1日8時間
週40時間
です。
例えば、労働時間7時間/日・年間休日数105日未満の場合、単純計算で週6日労働が発生しています。この場合、7時間/日×6日=42時間となり、週40時間を超えることになります。
建設業においては特に、週40時間以内であることが求められますので、
労働時間を平日7時間、休日5時間にする
1日の労働時間を6時間40分以内にする
などといった労働条件で雇用することが必要です。
併せて、時間外労働を行わせる場合は、36協定の締結・届出が必要となります。
また近年は働き方改革関連法によって時間外労働の上限規制も強化されています。
特に留学生アルバイトについては、在留資格上の就労時間制限が存在しています。↓
原則週28時間以内
長期休暇中は1日8時間以内
※複数のアルバイト先で働いている場合は、他社分も含めた総労働時間で判断される
そのため、企業は労働時間管理をより慎重に行う必要があります。
配置転換や昇進でビザの見直しが必要になることもある
日本人従業員であれば、昇進や異動は労務管理上の問題で済みます。
しかし外国人従業員の場合、
在留資格との適合性
も確認しなければなりません。
例えば技術・人文知識・国際業務の典型例として、
システムエンジニア → システム開発部門の管理職
通訳 → 海外営業
経理 → 総務事務
といった場合、業務内容によっては在留資格変更が必要になることがあります。
人事異動の際には、必ず変更後の業務内容が現在の在留資格で認められる活動に該当するか再確認が重要です。
退職時にも企業の対応が必要
外国人従業員が退職する場合、企業は退職証明書の発行に対応する必要があります。
退職証明書は、
転職先での手続
在留資格更新
就労資格証明書取得
などで必要になることがあります。
また、外国人本人も退職後の在留資格維持に注意する必要があります。
就労系在留資格を有する外国人が退職後3か月以上、正当な理由なく在留活動を行わない場合は、在留資格取消しの対象となる可能性があります。
解雇には慎重な判断を
外国人だからという理由で解雇することはできません。
外国人労働者にも日本人と同じ解雇規制が適用されます。
解雇が有効となるためには、
客観的に合理的な理由
社会通念上の相当性
が必要です。
また、原則として30日前の解雇予告、または解雇予告手当の支払いが必要になります。
安易な解雇は労働紛争や訴訟につながる可能性があるため、専門家への相談が不可欠です。
各種届出もお忘れなく

雇入れ時と離職時の双方において、事業主はハローワークへ「外国人雇用状況届出」を行う義務があります。
対象となるのは、特別永住者などを除くほぼすべての外国人労働者で、正社員だけでなくパート・アルバイトも含まれます。
雇用保険の手続きを行う場合は資格取得届・資格喪失届により届出を兼ねることができますが、雇用保険に加入しない場合は別途届出が必要です。
なお、届出を怠ったり虚偽の届出を行ったりした場合は、30万円以下の罰金の対象となることがあります。外国人採用時には在留資格の確認とあわせて、採用時・退職時双方の届出漏れがないよう注意しましょう。
まとめ
外国人雇用に関するトラブルの多くは、「労務管理」と「在留資格管理」の連携不足から発生します。特に採用時や人事異動時には、在留資格との適合性確認が不可欠です。
最も重要なのは、
「労働法」と「在留資格制度」の両方を理解すること
です。
採用、賃金、労働時間、人事異動、退職、解雇のいずれの場面でも、企業は日本人従業員と同様の労務管理を行うと同時に、外国人特有の在留資格の問題にも配慮しなければなりません。
外国人雇用は企業の成長を支える大きな力になります。しかし、そのためには適切なコンプライアンス体制が不可欠です。
当法人では、外国人雇用に関する在留資格手続から労務管理上の留意点まで、企業様向けに総合的なサポートを行っています。外国人採用や雇用管理でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。







