育成就労とは?技能実習との比較まとめ
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更新日:13 時間前
「技能実習」に代わる、新たな「育成就労」という制度が、2027年4月1日に始まります。
新制度の概要・変更点・制度スケジュール・よくある質問などをまとめました。

1. 育成就労とは
「育成就労」制度を新設する改正法が、2027年4月1日から施行される形で
2025年9月26日に閣議決定しました。
これは現行の「技能実習」に変わる在留資格で、「技能実習」は廃止される予定です。
現「技能実習」は「開発途上国の人材に日本の技術を広る」という、
国際協力色が強い目的だったのに対し
新「育成就労」は「日本での人材育成と人材確保」という、
日本国内に視点をシフトした目的となりました。
「技能実習」から「特定技能1号」への移行は当初想定されていなかったため
「特定技能1号」への移行ができない職種なども存在するのが現行制度です。
しかし新たな「育成就労」制度では
「特定技能1号」に移行することを前提とした制度設計になっています。
2. 技能実習と育成就労の比較
技能実習(現制度) | 育成就労(新制度) | |
制度目的 | 人材育成(国際協力) | 人材育成+人材確保 |
在留期間 | 原則5年(1号〜3号に分かれる) | 原則3年(育成期間) |
対象分野 | 91職種168作業(幅広い分野) | 特定技能分野の中から選定される見込み |
日本語要件 | 要件なし。 ただし、介護分野などでは N4 程度の日本語能力が求められる。 | 就労開始前に、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)の合格が必要。 又はこれに相当する認定日本語教育機関等での受講。 分野別に別途要件が設けられる可能性あり。 |
技能要件 | 入国時は不要。 実習を通じて技能を学ぶ。 | 入国時は不要。 実習を通じて技能を学ぶ。 |
転職・転籍 | 原則禁止(倒産などやむを得ない場合のみ例外)。 | やむを得ない場合、または本人の意向で転籍可能。 |
家族帯同 | 不可 | 不可 |
監理体制 | 監理団体 | 監理支援団体 |
キャリア パス | 実習終了後は原則帰国。 →一部作業は特定技能へ移行可能。 | 育成就労3年 → 特定技能1号(5年*) → 特定技能2号(無期限) *一定の成績で2号に不合格になった場合もう1年の猶予が認められる |
課題・懸念 | ・入国時に本人が母国の人材会社等に支払う費用の膨大化・借金 ・転籍が出来ない事による人権・失踪問題 ・日本の人材不足による実態と目的の乖離 | ・受入企業の負担増加(人材会社への支払い等) ・転籍自由度による人材流出リスク。 |
3. 施行までのスケジュール
2027年4月1日から施行されることが決まりました。
施行日に向けて改正法審議が繰り返される予定です。
4. 質問集
出入国在留管理庁のホームページから抜粋しております。
企業単独型と団体監理型の2種類体制については変わりませんか?
「単独型育成就労」と、「監理型育成就労」に引き継がれ、同様の受入形態になります。
育成就労制度での人材受入手続きについて教えてください。
育成就労計画(技能実習計画)の認定手続といった基本的な流れは変わりません。
ただし、技能実習制度では1~3号の各段階で計画の認定が必要ですが、
育成就労制度では、当初から3年間の計画を作成し認定を受けることとなります。
育成就労制度では、例えば、「夏は農業、冬は漁業」のように、外国人が複数の分野で働くことはできますか?
育成就労制度では、人材育成の一貫性を確保する観点から、例えば「農業」と「漁業」のように分野をまたいで働くことはできません。
派遣の形態で育成就労を実施することはできますか?
季節性のある分野(農業や漁業の分野を想定)において、
派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成し、その認定を受けることで、
派遣の形態での育成就労を実施することができます。
なお、育成就労計画の認定を受ける際は、あらかじめ派遣先ごとに派遣時期を定めて
育成就労計画を作成する必要があります。
育成就労制度の監理支援機関は、技能実習制度の監理団体と何が違いますか?
監理支援機関は監理団体と同様に、主務大臣の許可を受けた上で、
国際的なマッチング、受入れ機関(育成就労実施者)に対する監理・指導、
育成就労外国人の支援・保護等を行うことになります。
その上で、育成就労制度では、これらの機能をより適切に果たすことができるよう、
監理・支援・保護機能を強化する方向で許可の要件を見直す*こととしています。
また、育成就労制度では、新たに外国人本人の意向による転籍が可能となりますが、
転籍を希望する申出があった際、監理支援機関は、関係機関との連絡調整等の役割を担うことになります。
*具体的には、以下のような要件を新たに設ける方針ですが、詳細は今後検討してまいります。
・受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与を制限する
・外部監査人の設置を義務付ける
・受入れ機関数に応じた職員の配置を義務付ける
技能実習制度の監理団体は、育成就労制度でもそのまま監理支援機関になることができますか?
監理団体が監理支援機関として育成就労制度に関わる業務を行うためには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。
育成就労外国人は、どのような要件を満たせば転籍ができますか?
育成就労制度においては、パワハラや暴力などの人権侵害を受けた場合等「やむを得ない事情」がある場合の転籍を認めるほか、一定の要件の下、本人の意向による転籍も認めることとしています。
当該一定の要件としては、
転籍先の育成就労実施者の下で従事する業務が転籍元の育成就労実施者の下で従事していた業務と同一の業務区分であること
転籍元の育成就労実施者の下で業務に従事していた期間が、育成就労産業分野ごとに1年以上2年以下の範囲内で定められる所定の期間を超えていること
育成就労外国人の技能及び日本語能力が一定水準以上であること
転籍先の育成就労実施者が適切と認められる一定の要件に適合していること
などがあり、その詳細については、今後主務省令等において具体化していく予定です。
外国人に関して入国時に必要な技能や日本語能力の要件はありますか?
技能に係る要件はありませんが、日本語能力に係る要件として、就労開始前に、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)の合格又はこれに相当する認定日本語教育機関等による日本語講習の受講が求められます。
なお、必要となる日本語能力レベルについては、技能実習制度における取扱いを踏まえ、育成就労産業分野ごとに、より高い水準とすることも可能とする予定です。
元技能実習生が再度来日して育成就労制度で働くことはできますか?
過去に技能実習を行った期間は育成就労を行った期間とみなされ、
2年以上技能実習を行った外国人が再度来日し育成就労制度で働くことは基本的にできません。
ただし、技能実習を行った職種・作業に対応する育成就労の受入れ対象分野がない場合など、
一定の場合には育成就労で働くことを認めることを予定していますが、
その詳細については、今後主務省令で定めることとなります。
育成就労制度がスタートした時に既に来日している技能実習生はどうなりますか?
改正法の施行日(改正法の公布日(令和6年6月21日)から起算して3年以内)に既に来日している技能実習生については、引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けることができます。
技能実習1号で在留する技能実習生は、技能実習計画の認定を受けた上で、
技能実習2号へも移行することができますが、技能実習3号への移行については、
施行日時点に技能実習2号で在留している方のうち、一定の範囲のものに限ることとしており、
その詳細は、今後主務省令で定める予定です。
特定技能制度は何が変わりますか?
1号特定技能外国人の支援業務の委託先を登録支援機関に限定し、
登録支援機関や受入れ機関について、要件を厳格化・適正化することを予定しています。
また、外国人育成就労機構が、育成就労外国人だけでなく1号特定技能外国人への相談援助業務も行うこととしています。
育成就労から特定技能1号に移行する際の要件は、現行の技能実習から移行する場合と変わりませんか?
現行の特定技能制度では、技能実習2号良好修了者であれば、技能実習から特定技能1号への移行に際して、技能に係る試験及び日本語能力に係る試験の合格を免除するものとしていますが、育成就労制度では、技能に係る試験(技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験)及び日本語能力に係る試験(日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等))の合格を特定技能1号への移行の要件とする方針です。
なお、特定技能1号への移行に必要な技能・日本語能力に係る試験に不合格となった場合には、最長1年の範囲内で、一定の在留継続を認めることができる方針としています。
育成就労の途中で、特定技能1号に移行することはできますか?
特定技能への移行要件(技能や日本語能力に係る試験の合格)を満たすことに加え、現に在籍している育成就労の受入れ機関における就労期間が一定の期間を超えている場合に限り、特定技能1号への移行を認める方針です。
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